第7回「時代を斬る」 安倍政権の中東参戦~第三次世界大戦を阻む歴史の教訓

安倍政権の中東参戦
第三次世界大戦を阻む歴史の教訓

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衆議院選挙から2ヶ月あまり、時代が音をたてて回りつつあります。中東、ウクライナ、東アジアで、大国間の資源や領土をめぐる利害衝突が深刻化しながら、侵略戦争が拡大しています。日本も加わった「有志連合」によるイラク・シリア爆撃は、すでに2400回を越え、6000人を越える命が奪われている。しかし一方で、「イスラム国」の行動と路線が、この侵略戦争を止め人民の解放を実現するものとは到底考えらない。彼らは、中東の石油産業や教育労働者の闘いを武力でつぶしています。

3度目の世界大戦を絶対に阻むため、今こそ歴史の真の主人公である労働者階級が登場するときです。この視点から、1929年世界恐慌から第二次世界大戦勃発までの10年間をあらためて考えることが大切ではないか。ドイツ・ナチス政権誕生が33年。36年スペイン内乱。独ソ不可侵条約が39年8月。直後の9月1日にドイツのポーランド侵入、9月3日にイギリスとフランスがドイツに宣戦。9月17日にソ連もポーランド進駐。1941年6月ドイツがソ連に攻撃開始、12月の日本のハワイ真珠湾奇襲とつづきます。

■1930年代を今日的にとらえ返す

第2次世界大戦は「民主主義対ファシズムの戦い」と多くの教科書に書かれています。果たして、そうでしょうか。実際は、帝国主義国どうしの、市場と資源と領土のぶんどり合い(ドイツ・日本・イタリアvs米・英・仏)にソ連も加わった。それを「正義の戦争」というために、アメリカもソ連も「民主主義対ファシズム」の戦いと言い換えた。

ピューリッツア賞をとったあの『ベスト&ブライテスト』の著者D・ハルバースタムは、アメリカ現代史を追った別の著作で「30年代のアメリカ史で決定的だったのはあの独ソ不可侵条約だった」と書いている。1936年スペイン内乱が勃発すると、アメリカ共産党員や支持者の労働者と知識人は、ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』で描かれているように、ファシズムと闘うために大勢が義勇兵としてスペインに赴いた。他方、アメリカ国内は大恐慌が一層深まり、シカゴでもサンフランシスコでも労働者のストライキが続発して、軍隊と衝突しながら一種のコミューンを結成する。ところが、その「労働者の祖国」ソ連とナチスが手を結んだ。独ソ不可侵条約。アメリカの労働者の闘いは混乱させられ方向を見失い、やがて独ソ戦の開始とともにルーズベルト大統領の階級協調・愛国主義に取り込まれ、「アメリカ=民主主義のための戦争」に動員されて行った。結局、アメリカ人民解放の道はそこでふさがれたと、ハルバースタムは言う。彼は、あの「独ソ不可侵」の混乱と階級融和がなければ、アメリカ革命は30年代に十分可能だったと書いている。

今、第二次世界大戦に至る過程をそういう視点で見ることは大切なことだ。つまり、1929年世界大恐慌から第二次世界大戦の過程は、第一次世界大戦とロシア革命のように、労働者人民にとっては資本家政府を打ち倒し、戦争を阻止するチャンスだった。

■中東とウクライナ

国家主義や愛国・排外主義と闘い、戦争は一握りの資本家とその政府の利益にしかならないこと、だから資本主義の「墓堀人」である労働者の態度が一切を決めること、これをハッキリ言い切り、広める時が来ていると思います。

中東石油の争奪戦が一層激しくなっている。しかし、アメリカは軍事予算が逼迫し、また軍隊の崩壊が進んでいる。イラクに派兵され帰ってきた兵士の半数以上が心を病み、自殺や離婚や犯罪に追い込まれている。

他方、ドイツは、シリア空爆に参加せずに、クルドに対して莫大な武器援助をしている。携帯対戦車榴弾30基、突撃銃(自動小銃)1万6000丁、手榴弾1万個、拳銃8000丁、輸送トラックなど、総額7000万ユーロ(約102億円)、その使い方の訓練もしている。戦前のBBCライン(ベルリンーベオグラードーバグダット)の野望です。いまだにあのワイツゼッカー演説が素晴らしいとか言っている人がいますが、ガウク現大統領は「アメリカは世界の警察官ではなくなった。その隙間をドイツが埋める」と言明しています。旧ユーゴが分解していく中で、すでにドイツはバルカン半島に派兵し、それをめぐってドイツの緑の党は分裂した。また、アフガンには5000人の兵士を送っている。

ウクライナ情勢では、フランスとドイツとプーチンが、ウクライナの大統領を入れて、16時間の討議をし「緩衝地帯」の設置で合意したといわれる。緩衝地帯というと朝鮮戦争と38度線を思い出します。東部2州はロシアに併合されるのか、オバマはウクライナに重火器を送り込むと言い、独仏は反対と言っている。このウクライナでも中東でもアメリカ軍のもう一歩の踏み込みが不可避になっている。

■安倍政権の突出

安倍首相は、対米・対EUを明らかに意識して、日本企業46社を率いて中東を回り、イスラエルの「ダビデの星」旗と日章旗を並べた演壇で「ISILの進出を止めるために2億ドルを拠出する」と言い放った。この映像自体が中東人民全体を敵にまわす以外のなにものでもなかった。そして、人質事件を十分に承知し見殺しにしたうえで、「その罪を償わせる」と宣いながら、中東石油争奪戦争への参戦に踏み切った。

いまや安倍政権は八方ふさがり、その絶望的な突破策です。いろいろ手を打って株価だけは上げているが、実質賃金も個人消費も全然伸びない。切り札としていた北朝鮮の拉致問題も進展しない。

他方、国会では、共産党はじめ全会派が「テロ撲滅」を合唱し、翼賛国会に堕しています。しかし、国会がこうして「おしゃべり小屋」になればなるほど、何の説得力ももたない。人々の怒りも悲しみもまったく関係ない。病院の待合室のテレビでNHKはすぐ変えられてしまう、国会中継なんか見ていてもストレスがたまり、病気が進行するだけ。

■「反緊縮」を決断したギリシャ人民の闘い

ギリシャの労働者階級の闘いを、日本のマスコミは「人民の甘えだ」などとくさしているが、とんでもない間違い。緊縮財政で賃金は大幅カット、年金はストップえ生活できなくなっている。アテネの広場で老人が遺書を残しピストル自殺している。この社会のあり方を本当に何とかしなくてはだめだ、その警告のためには私はここで死んで行くという遺書を残して。今のチプラス政権が即展望を開くわけではない、だけどギリシャ人民はEU(ドイツ主導)が強いる生活破壊を拒否するという大変な決断をした。

ドイツの機関士労組が、フランスではエールフランスの労働者が、イギリスではスコットランド問題が「シティ」中心の新自由主義に反対する運動として続いている

■朝鮮半島危機と民主労総ゼネスト執行部

東アジアでは、朝鮮半島危機が重大な局面に入っている。しかも、北朝鮮が支配崩壊の危機ゆえの軍事的冒険主義に出てくるという従来からの情勢とも異なる。

韓国の民主労総80万人。組合員に1票投票で今度成立した執行部は自らをゼネスト執行部と言っている。4月から6月まで波状的にゼネストを打つと宣言し、絶望や敗北主義を今こそ闘いの団結を強める中で超えると宣言している。

他方では、朴槿恵の支持率が20%台になっている。4~6月の波状ゼネストを継いで秋には大政治ゼネストをやって倒すと。その激動のなかで、金正恩体制などはどうなるのか。1948年4・3済州島蜂起、60年4・19、そして80年光州蜂起という歴史の中から、「武力統一路線」の北朝鮮の反人民的対応は見なければなりません。

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■改憲攻撃を許さない

改憲にむけたスケジュールが出されています。来年の参院選後に両院で改憲の発議をすると言う。

焦点は「緊急事態条項」、つまり戒厳令です。自民党の改憲草案はいう。

「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等の大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」において、内閣総理大臣は「緊急事態の宣言を発することができる。」

緊急事態の宣言が発せられたときは、「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。」

「何人も、国その他公の機関の指示に従わなければならない。」
・・・・・・“ナチスの授権法どころではない憲法の自爆装置”と弾劾されています。

さらに治安法、盗聴法、そして他人を売り渡せばお前は助けてやるという司法取引。また、「匿名証人」、法廷に出てきて名前も住所も言わずに、何をしゃべっても「証拠」になってしまう。ところがこの3つとも日弁連が賛成してしまった。私たちはこの裏切り執行部打倒を掲げて、東京弁護士会会長選で武内弁護士が760票を獲得した。

盗聴の拡大では、ほとんどの刑法犯罪が含まれる。窃盗、詐欺、傷害、暴行・・・。今までは組織的な殺人、麻薬関係とか、4つの罪だけだった。

盗聴は、予防的になされるものです。すなわち起こった事件に対する捜査ではありません。起こる「かもしれない」です。今まで通信事業者、NTTなどの施設で立会人のもとで盗聴していたのが、その制限は取っ払われて、警察施設で、立会人なしでできる。専門部隊つくって、コンピュータを使えば24時間、全部の通信を盗聴できる。フランスでは、ドゴール時代以来パリの全部の通信が盗聴はされているといわれる。政府は法案の一括採決を狙っています。絶対に許してはなりません。現代の治安維持法と闘う会が呼びかける、「盗聴法改悪を許さない3・21集会」(午後6時半、セシオン杉並)が決定的です。

■3・11反原発郡山へ

最後に、反原発闘争について。政府は再稼働を狙ってデタラメを言い続けています。今、子どもの甲状腺がんは疑いも含めて112人。それでも放射能の影響ではないと言い張っている。内部被曝問題は、もはや非和解的対立です。

2月8日に東京でふくしま共同診療所報告会が開かれ、東京への避難者も含む100人以上の人たちが集まりました。

原水禁運動はビキニ事件をうけて杉並から始まりましたが、私自身が長崎でディレクターをやっていた経験をとらえ返しても、「3・1ビキニデー」の今持ってる意味は大きい。

政府は福島を「なかったこと」にしようとしています。福島では「放射能」という言葉すら使えなくなっている。これは広島、長崎でも同じでした。プレス・コードで報道させない。だから、民衆は広島・長崎の実態は知らされていなかった。そして9年後の1954年のビキニ環礁水爆実験ではじめて核のむごさ実態を知らされ、それが広島・長崎と結びついて原水爆禁止運動が起こっていく。3・1ビキニのたたかいは、フクシマを「なかったこと」にさせないたたかいでもあります。

その点、動労水戸の被曝労働拒否のストライキは世界史的な意味をもっています。反原発運動と労働運動の分断を乗り越えたたたかいが開始された。内部被曝問題は人類史的な課題です。そして、資本家階級と非和解的に対決している労働者階級の闘いぬきに、内部被曝が根絶されていくこともない。

動労千葉も3月14日、「ダイヤ改正」に対して、ストライキをやります。特急をなくして地方を切り捨てて、なにが「地方創生」なのか。銚子や館山の自治体も絶対反対で決起しています。こうして労働者の闘いが社会的な意義を持ち、社会的に広がっていることは実に画期的だと思います。

3月国鉄闘争、4月~6月安保国会、治安法との攻防をともにたたかっていきましょう。