第8回『時代を斬る』   戦争法案、プーチン「核」発言、統一地方選挙、緊急事態条項

第8回『時代を斬る』での提起ダイジェスト
戦争法案、プーチン「核」発言、統一地方選挙、緊急事態条項

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【1】安全保障法制(戦争法案)

「安全保障法制」なるものの国会上程が企まれています。「9条」破壊の改憲であり、安保大改定であり、戦後史の分岐点に来ています。

4月26日に安倍首相が訪米し、オバマ大統領と日米首脳会談を行い、議会で演説する。アメリカの議会は安倍首相を東京裁判を認めない「歴史修正主義者」と評価していますから、安倍がいったい何を言うのか注視しています。

その訪米後、安倍政権は、5月14日安保法制を国会に一括上程し、一括採決を狙っている。会期を延長して8月上旬までに可決成立、そして8月15日には「安倍談話」が出される。人民と自公政権との決戦期です。

「安保法制」といわれますが、去年7月1日の集団的自衛権の行使容認の閣議決定が柱になります。「存立危機事態」とかの言葉を使いながら、「自衛の措置」すなわち自衛の名によってあらゆる「武力の行使」(戦争)ができる法制の確立です。

「他国軍の後方支援」。「周辺事態」という語を削って自衛隊派兵の地理的な制限をなくす。また、「他国軍」とはアメリカ軍に限らない。オーストラリア軍などと言っていますが、最もありうるのは韓国軍でしょう。さらに、後方支援の内容は、「物資、弾薬」の補給。いうまでもなく現代戦争は補給、兵站が軍事行動の枢要部を占めます。そこが相手の攻撃の対象になり、自衛隊が戦闘に加わっていくことは明らかです。

「恒久法」の新設とは、派兵をその都度国会で決めることはしない。いつでも出兵できるということ。

「グレーゾーン事態」というのは、戦争でもなく、国家の存立が脅かされることもない事態であっても、治安維持の延長として自衛隊が出動できる。

「邦人救出」も法制化しようとしている。周知の通り、邦人救出は侵略派兵の常套手段です。さらに、「船舶検査法」の改悪。いわゆる臨検です。海上封鎖をやり、有無を言わせず臨検する。もちろん軍事行動であり、武装した部隊でないとできない。

「戦争とは別の手段をもってする政治の延長である。」という有名なクラウゼビッツの『戦争論』の言葉があります。いま、この視点は非常に大事だと私は考えます。いきなり戦争にはならない。必ず「戦争政治」が先行し、その結果として戦争が起きる。だから、まず戦争政治そのものを断ち切ることです。尖閣問題を見れば明らかです。田中角栄・周恩来会談当時の「棚上げ」経緯をまったく無視して、石原都知事・野田政権が国有化した「戦争政治」。領土をめぐる争いは古今東西最大の戦争勃発要因です。

【2】プーチンの核兵器発言

帝国主義・大国間の資源、市場、勢力圏の奪い合いが激しくなり軍事化している。このなかで飛び出したプーチンのクリミヤ危機「核戦争準備発言」は徹底的に重視しないといけない。 改憲と戦争に反対と言っていますが、その戦争とは核戦争にほかならないことが明らかになった。戦争は軍隊だけがやるものではない。ヒロシマ、ナガサキがそうであったように戦場と後方の区別はなく、そのなかで核兵器が使われる。人類絶滅の危機をはらんだ戦争。資本家だって自分たちは死にたくないから核兵器は使わないだろうという、彼らの理性に期待する議論は間違いです。「われ亡き後に洪水よきたれ」、自分たちがいざ滅びるとなったらなんだってやる、それが資本の本性です。

プーチンのこの言明に、ヨーロッパは沈黙し、アメリカは猛反発している。先日メルケル独首相が来日しました。マスコミは彼女をもてはやしていましたが、私は、実際は核武装をめぐる安倍政権との腹の探り合いがあったと推測しています。

これから8・6ヒロシマ―8・9ナガサを迎えますが、日本と世界の反核・反原発闘争は、このプーチン発言を餌食にして運動の飛躍を一気にしなければと思います。

なぜ再稼働を急ぐのか、核兵器の材料であるプルトニウム蓄積のためです。日本が「もんじゅ」を絶対に手放さないのはそのためです。あるいは下北半島の核再処理施設。

また、内部被曝問題を隠しているのも決定的です。核戦争の場合、その問題で人類が破滅する。広島・長崎の「ABCC」は内部被曝問題を重視していました。どのように原爆を落としたら、その瞬間だけでなく被害者が拡大するか。まさに内部被曝問題です。効果的に核爆弾を使うために膨大なデータを集めた。そして、被爆者が亡くなるとABCCが遺体を解剖し、アメリカに送っていた。膨大な内部被爆資料を彼らは持っているんです。

核というものの支配に人類がどう勝っていくか、20世紀後半から巨大なテーマになっている。われわれ人類の上に核爆弾がぶら下げられているようなものです。それをどう越えていくか。労働者階級こそが廃絶できる。核兵器をつくるのも運搬するのも労働者。ボタンを押すのは「軍服を着た労働者」である兵士です。それが総反乱を起こし、核を奪い廃絶する。原発の廃炉と同じです。ここに人類の未来がかかっている。国連の決議だとか、オバマのプラハ演説―アメリカの核独占体制を維持するためのものですが―ではない。

【3】安倍政権と人民

沖縄辺野古新基地問題は安倍政権を追いつめ、何かというと「粛々と」民意を真っ向から踏みにじってきた菅官房長官が翁長知事と会談しました。しかし、問答無用の工事は進行しています。懐柔と分断を打ち破る本土・沖縄のたたかう労働者人民が闘いの先頭に立つべきときを迎えています。5.17沖縄現地闘争に決起しましょう。

地方選挙がはじまっています。4月12日投票の第1次地方選挙に続き4月19日からの第2次地方選。この重要さはいうまでもありません。安倍政権の生活切り捨て(消費税、残業代ゼロ、民営化…)に人民は誰も納得していない。安保法制だって賛成は5割いない。原発賛成は3割。この民意を蹂躙して1%の金持ちのために戦争政治に走って安倍に対して絶対ノーの声を突きつける。
杉並は、権力も他党も最も注目すべき選挙区になっている。当然です。3ヶ月前の衆議院選挙で、真っ向から安倍を倒せという声が1万7千も挙がったのですから。北島邦彦さんの区議選はその継承としてあります。

その証拠に、自民党は改憲賛成署名を町内会を通じて始めていると聞きます。例の櫻井や葛西らによる「草の根から改憲の声を上げていく」と運動です。いま改憲賛成の世論は5割に満たない。今国民投票をやったら負けるとわかっている。だから下から巻き起こすということで、この杉並が彼らにとっても闘いの最前線です。かくして、杉並は、日本の戦後政治の中で最先端をきってきた地域。原水禁運動の発祥の歴史は「土地の記憶」として続いている。

もう一つ、治安立法です。大きな闘いが始まりました。盗聴の拡大が狙われています。そもそも盗聴とは「予防的」になされるものです。犯罪のさなかとか事後に盗聴しても仕方ない。「その危険」です。罪名は窃盗、詐欺、暴行、傷害など、今までは銃器や麻薬など4つの罪だけが問われていたのが、が一気に増える。窃盗と詐欺だけで刑法犯の大半を占めます。しかも、それが警察署で立会人なしで自由にできる。今までは通信事業者のところで立会人も必要でした。コンピュータと組み合わせれば全部盗聴できる。フランスではドゴール時代以来、パリの電話は全部盗聴されていたといわれます。

司法取引とは、「他人の犯罪」を告げたら減刑される。えん罪の温床です。また、匿名証人。職業も住所も名前も言わずに証言し、それが証拠になる。いくらでもおとり捜査ができる。こんなものは刑事裁判ではありません。それを制度化しようとしている。

日弁連が大裏切りをやった。「一部録音・録画」がエサだった。検察が自白調書を法廷に出す場合に、その取調べ場面の録音・録画を出せば、自白調書の内容は信用できるかどうかほとんど争われなくなる。「可視化」とは、自白を証拠とするための、検察の武器でしかない。

日弁連は、これらの法案にすべて賛成している。国会に上程された日に、日弁連は会長声明で「一日も早い立法化を望む」と言っている。冗談ではありません。

4月10日(金)「盗聴拡大」阻止デモ(正午・日比谷公園霞門)に集まりましょう。0403_1

【4】緊急事態の新設

改憲について、自民党は、来年7月の参議院選挙の後に発議するといい、「国民が納得しやすいテーマ」とし「緊急事態条項の新設」を挙げています。

現憲法に戒厳令が規定されていないということは、第9条と直結しています。緊急事態とか戒厳令は戦争を想定しているからです。

自民党「改憲草案」では、99条に以下の条項の新設が提案されています。

第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

「政令」となっているとおり、法律をつくる必要はないということです。

2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

ここで、あらかじめ「事後」としていることも重大です。

3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

 ここでの「措置」も、法律でも政令でもありません。令状なしに警察も消防も区役所の職員も通行人に例えば「荷物を見せろ」と強制できる。そこまで権限を拡大をしている。ここでペテン的に「基本的人権」の「最大限の尊重」ということを持ち出していること自体が、この条項がどれほど人権侵害の極致であるかを自白するものです。

4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

すなわち「通年国会」にするということです。国会で野党は会期末に向かって審議を追い込んでいき、期限切れということで法案が廃案になったり継続審議になったりする。これを通年国会にすることで、あらゆる法案を通してしまう。

ある憲法学者が指摘していますが、「これはナチスの授権法を超えるもので、憲法自体の自爆装置だ」と言っています。

【5】階級的労働運動と国際連帯

こうして見てきますと、確かに大変な時代ですが、危機は支配階級にあります。人民の圧倒的多数はこんな政治に納得していません。戦争政治をどう断ちきるのか。鍵は労働運動と国際連帯。この資本主義社会で、最も力ある勢力、労働者と労働組合運動が国際的につながっていくことです。

東京西部ユニオンのアメリカン・アパレル分会の労働委員会闘争で現職復帰と2年分の賃金支払い命令という画期的な勝利がかちとられました。動労神奈川に結集する青年労働者は3ヶ月契約で働いていましたが、組合運動を始めたとたんに会社は1ヶ月に縮め、4月末の雇い止めを言い渡してきました。ストライキで闘い、元の契約に戻させた。団結すれば勝てます。

胸をはって前に進みましょう。