6月26日 第10回「時代を斬る」での提起 「戦争法案を分析する」(その2)

【1】延長国会

前回にひきつづいて、戦争法案の問題を中心に提起していきたいと思います。
国会の会期が95日間延長されました。「戦後最長」といわれるように、まさに戦後史の決着をつける大決戦に入っています。
安倍が、「戦後レジームからの脱却」と掲げる、敗戦帝国主義としての「恥多き戦後」に対して、「2・1ゼネスト」の敗北を乗り越えるわれわれの戦後の闘い、沖縄、広島、長崎、在日のたたかいもふくめた闘い。その決着をつける根底的で壮大な決戦です。 連日国会を万を超える人たちが取り巻いています。先日の沖縄では安倍にものすごい怒りが叩きつけられ、逃げ帰った

憲法学者の決起は安倍に痛打を浴びせました。慶応大学の小林節氏は「国家あっての人権」論をふりかざし、また、改憲手続法を国会でも強く支持していたご当人です。
本日の国会では、安倍は、砂川判決をまたぞろ持ち出してきた。去年公明党が猛反対して一度は引っ込めたにもかかわらず、今やこれしかなくなっている。現憲法を制定する国会で、吉田茂首相が「現代の戦争はすべて自衛の名によって行われた」と答弁したのは有名な話ですが、それを曖昧にする最初のたくらみが砂川判決でした。次の点で徹底的に弾劾していくことです。
ひとつ。最高裁判決は、「アメリカ駐留軍は違憲だ」とした東京地裁・伊達判決から跳躍上告して出された。砂川基地突入闘争をめぐる裁判で駐留軍の合憲性が焦点だった。最高裁は、その駐留軍の合憲を導くために、国家固有の自衛の措置をとりうる権能と言った。文言だけとれば「自衛の権能」と言っているが、駐留軍の合憲を引き出すために言っているに過ぎない。いわんや集団的自衛権などにはまったく言及していない。

二つ目。こんな「恥多き」判決はないということです。最高裁長官の田中耕太郎が駐日大使・公使が密談を重ねて、「駐留軍違憲」判決を最高裁全員一致でひっくり返してみせると約束した。一国の司法のトップがこんな密約を交わして出された判決です。支配階級として持ち出すこと自体が恥ずかしい限りの代物ではないのか。
三つ目。いわゆる統治行為論です。すなわち「高度に政治的な行為は司法の対象にならない」と言い切った。憲法81条には違憲立法審査権が宣言されています。法律や処分が憲法に適合するかどうか最終的に判断する権限を最高裁は持っていると。それを自ら捨ててしまった。司法が立法(国会)や行政(内閣)にすべて従うというのでは、およそ三権分立など存在しません。この砂川判決以降、裁判所は憲法判断を徹底して避け続けている。労働事件・公安事件などの憲法判断を逃げ回っている。湾岸戦争時、ペルシャ湾への自衛隊初の海外派兵でも憲法判断をしなかった。フランス革命以来の資本主義国家の建前である三権分立をこうして捨て去ったこの日本国家ですから、今に至るまで実にゆがみに歪んだ権力支配の形をとり続けているわけです。

追い詰められた安倍は、最後に砂川判決にすがりついていますが、そもそも戦争法案は「高度に政治的な行為」ですから、最高裁によればその判断の外にあるものです。それを盾にとることなどできるはずもない。

【2】大恐慌の深まりと戦争情勢

内外の情勢を少し見てみましょう。アメリカFRBイエレン議長は「利上げ」をためらっている。経済の成長は止まっている。ギリシャ問題を巡ってはEU解体の危機。日本の株高も「官製相場」を見た外国人投資家が、当面は日本株で儲けられると投機マネーをつぎ込んでいる。。バブルとしか言いようがない。アベノミクスは崩壊過程に入っています。
ドイツで開かれたG7で、ドイツ・メルケル首相と安倍が対米対抗的に登場しています。 また、ウクライナ情勢はアメリカとロシアがすさまじい軍事力増強をおこなって、いよいよ緊張が高まっています。さらに東アジア(南中国海)の問題。これはTPPとからんではっきりしてきた。オバマが「TPPの根底には安全保障問題がある」と言っている。

【3】国会から

 自衛隊員の命

今回の戦争法案で、自衛隊員が海外で上官の命令に服しなかったり、逃亡したり、任務を怠った場合、処罰する特別の規定が設けられようとしています。
イラク派兵とアフガン給油活動に行ってきた自衛隊員56人が自殺したと明らかにされました。すさまじい緊張の中で、心を壊される。安倍は「今までも1800人の殉職者がいた」と言って、自衛隊員の命を軽んじていることを隠そうともしない。

 「北朝鮮以外は排除せず」

「武力攻撃事態法」は11本の戦争法案の中軸です。3要件なるものが出されていますが、歯止めでもなんでもありません。ときの閣議の決定で、「憲法9条のもとで許される自衛の措置としての武力行使すなわち戦争」ができるという。その条文に「我が国と密接な関係にある他国」とありますが、国会で、岸田外相が、この「密接な関係にある他国」とは「北朝鮮以外は排除せず」と言明した。明らかに朝鮮戦争を想定しています。

 徴兵制 安倍談話

選挙権年齢を18歳からと決まりましたが、徴兵制に向けた布石です。国会に出てきた西や百地は徴兵制合憲論者。連合のUAゼンセンも徴兵制やるべきと明言しています。
また、戦後70年談話は安倍個人の談話になったと言われます。閣議決定できない。追い詰められた末、個人の見解として、といいますが、安倍は総理大臣です。マスコミでさえ「これならやらない方がいい」と言いだしています。私たちの運動で一気に追い詰め、引き倒すチャンスが来ています。

【5】改憲反対1000万署名運動

桜井よしこ、葛西敬之らが「美しい日本の憲法1000万人賛同者」運動をはじめた。また、自民党青年部が300万枚のビラを用意し、「二度と戦争を起こさないための抑止力」などと叫んで一斉に街頭に出た。ところが、大勢の人々が包囲して退散させてしまった。
われわれは「改憲阻止1000万人署名運動」を始めました。次の3本のスローガンです。
◎沖縄・福島の怒りとともに、安倍政権を倒そう!
◎労働運動をよみがえらせ、憲法改悪を阻もう!
◎国境を越えた人々の連帯で、戦争を阻止しよう!
今の延長国会から来年の参議院選挙過程が大決戦期。参院選後に明文改憲の第1回国民投票として「緊急事態条項」新設を出すと言っている。最初に提起しましたが、この改憲阻止決戦は、日本の戦後史をかけたものである同時に、アジアの戦後史をもかけたたたかいです。
改憲絶対反対の声が職場と街頭で、とくに首都東京であふれる状況をつくりましょう。

【6】国際連帯

国際連帯は7・5集会の大きなテーマです。
民主労総の第二次ゼネストが7月15日に決まりました。ハンサンギュン委員長に逮捕状が出ました。アメリカ人民の闘いも沸騰しています。次の2点を訴えたい。
ひとつは、「戦争とは別の手段を持ってする政治の延長である」と。戦争そのものの悲惨な結果だけとらえるのではなく、そこに行き着く政治を徹底的に見据える。戦争とは一握りの支配階級の利益だけのためだということを労働者人民の立場で日々暴露する。
もうひとつは、「自国政府の打倒」。排外主義と国益主義に打ち勝って戦争を阻止する具体的展望はここにあると思います。「非武装中立論」「絶対平和主義」を越えて、多くの人々が決起できる筋道といえます。戦争に向かうそれぞれの政府をそれぞれの人民が倒すということです。
7月5日の大集会から9月までの延長国会を人生をかけた戦争反対決戦として闘いましょう。